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遺留分の事前放棄(民法1043条)

事業承継における遺留分の問題については、経営承継円滑化法の民法の特例によらず、従来の制度を利用した対応策も考えられます。
従来の制度とは、民法1043条の遺留分の事前放棄です。
これは、放棄をする者が、各自で家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
つまり、非後継者に放棄の手続きをとってもらうということで、非後継者にとってはあまりメリットのないものであるため、実際にはほとんど利用されていないというのが現実ではないかと思われます。
また、非後継者が各自で申し立てるため、非後継者が複数人いた場合、結果が非後継者ごとに異なったりする点や、特定の財産(自社株式)について遺留分を放棄するかしないかの選択であるため、例えば財産価格の一部についての放棄は不可能であったりします。
さらに、すでに後継者が会社に入り辣腕をふるい株式評価額を高めた場合、全く会社経営にタッチしていない非後継者が遺留分を主張できるのでは、後継者の会社経営に対するモチベーションの点からも問題がある場合があるでしょう。
このように、従来制度による対応には限界があることを認識しておく必要があるでしょう。

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